IPS細胞ってすごいよね

IPS(induced pluripotent stem cells)細胞っていうものが、京都大学の山中先生によって作られました。
これは、いわゆる万能細胞と呼ばれてる細胞です。

万能細胞とは、ニューロンや血球、心筋など、からだのあらゆる細胞になることができる細胞のことをいいます。
(しかし、胎盤にはなれないので、受精卵のように人体のあらゆる細胞になり得る全能性は持っていません。そのため、子宮にES細胞を置いても人間が生まれたりはしません。このように、ES細胞のことを全能性と区別して、多能性を持つとしています。)

万能細胞には、今までES(Embryonic Stem cells)細胞って細胞がありましたが、これは倫理面や拒絶反応の問題で実用化は難しいと考えられていました。

しかし、それらの問題点を完璧に解消したのがIPS細胞なんですよね。


倫理面の問題っていうのは、ES細胞を作るのに人間の受精卵を用いることに関係しています。
不妊治療などで使われなくなった人工受精の受精卵をある程度育てて、それをほぐしてES細胞を得るんですが、まぁ普通に考えて倫理的に反対されるような作成法でしょう。

それに対して、IPS細胞はES細胞がES細胞である因子(たんぱく質)の構成情報である遺伝子を見つけ出し、その遺伝子を体の一部の細胞に強引に送り込むことで、細胞をES細胞へと作りかえるという方法なんですよね。

そのため、受精卵を何個もほぐして・・・とか、そういう倫理面の問題を克服し、なおかつその人の細胞を用いるために、拒絶反応もおきないという夢のような細胞なわけです。

さらに面白いのは、

「ES細胞がES細胞である因子の遺伝子」がたったの3つだったこと

です。

遺伝子の数は人で大体2万5千種類くらいあるんですが、全ての細胞になりうるES細胞と同じような細胞を作るには、たった3つの遺伝子だけが関係していたんですよね。

いたってシンプルな結論だったわけです。

ES細胞とほぼ同じ細胞であるIPS細胞、この細胞は胎盤以外の全てのものになることができるのです。

簡単にES細胞とIPS細胞の違いを説明すると、

ES細胞は受精卵の成長途中の初期胚内の細胞を取り出して培養して得るのに対し、IPS細胞はES細胞であるための遺伝子を解明し、皮膚などの細胞の遺伝子を操作することによって細胞を初期胚のような状態へと初期化(細胞の時間を過去に戻すような感じ)することで、ES細胞と同様の能力を持つ細胞(IPS細胞)を人工的に作ることで得られる

ということなのです。

イモリのように、手がなくなっても、自然に再生することができる、人間にもこんなことができる時代がすぐそこまできてるんですねぇ。

本当に人間って面白いし、すごいですね。

さてさて、これをインターネットの人間部分にあたるPCに重ねて考えると、PCのハード部分をハードの最小単位によって、故障が起きても全ての部分を復旧できるということになります。

うーん、どんな感じになるんだろ。

今のところ、ハードの最小単位ってのは統一されていないと思うんで、

IPS細胞のように再生能力をハードの機能にするためには、ハードの細胞のような単位を統一する必要がある

でしょうね。

まだまだ難しそうですが、僕の

「インターネットの未来は生命の進化の歴史である」

という説にのっとると、いずれは細胞のようなものがハードにもできちゃうんでしょうね。

しかも人間って、気がついたら「これって生物の細胞と同じ原理じゃないの」って感じでいつのまにかやっちゃってるんでしょう。

楽しみだなぁ。