Edward Green Chelseaでの木型82と202比較

IMG_3349

 

エドワード・グリーンで最も名モデルとされているチェルシーで、木型の比較をしてみた。

まずは、全ての革靴の基本となったといわれている202(右のチェスナットアンティーク)は、やはり上品なたたずまいで、最近の革靴と比べると丸い印象を受ける。

それに対して、82(左のダークオークアンティーク)は202の次世代ラストといわれており、最近の流行も取り入れた細身の見た目となっている。

色々見ていくと、普遍の名作と現代の名作にはさまざまな違いが見受けられる。

IMG_3326

見た目は、並べると非常に良く分かる。

82は細みであり、202は丸みを帯びている。また、トゥも82の方がわずかに長い。

IMG_3327

82は少しロングノーズでエレガントに見せるため、インサイドをすこしカーブ状の形状にしているが、202は履き心地優先のため、インサイドはストレートであり、アウトサイドカーブの形状となっている。

こういった点から、履き心地は202に軍敗が上がりそうだ。

IMG_3329

このように上からみると、82はトゥを細く見せるためにアウトサイドからトゥまでの形状が急激にカーブしている。

この形状は、見た目はエレガントに見えるが履き心地を犠牲にしているようにも思える。

IMG_3330

横から見ても、甲が82の方が低く作られているようだ。

人によっては、82の甲の方が良いかもしれないが、個人的には202の甲の高さが調度良い。

しかし、やはり見た目は非常にカッコいいのが82だ。

ヒールも、82は202より一枚乗せる革を多くし、202よりも高くしている。

IMG_3328

ヒールが高いことも、エレガントに見える要因の1つだろう。

さらには、履き心地をそこまで悪くすることなく、この見た目を引き出すところは、グリーンの技術力の高さではないだろうか。

ロングノーズにするために、踵やボールジョイントを中心にしっかり固定するため、ノーズが長いのも気にならない。

IMG_3333

実は、82のコバの目付けは、202と比べてピッチが非常に狭くて細かい。

このちょっとした配慮で、よりエレガントに見えるのだろう。

IMG_3334

比べると、202の1ピッチの間隔に対して、82では2ピッチあるように見える。

IMG_3338

土踏まずは、両木型同様にかなり攻めている。

ここまで攻めているのはグリーンだけではないか。

攻め具合は、82の方が一見きついように見えるが、全体の細身のバランスからいくと、比率は202の方が攻めていると思われる。

実際にはいてみても、82は踵とボールジョイントで固定、202は踵と土踏まずで固定、といった履き心地で、個人的には202の履き心地が実に気持ちよい。

IMG_3339

見た目では82、履き心地では202、といえそうだが、全く別の思想を元に作られた靴なのかもしれない。

ただ、どちらも最上級の靴としての履き心地は抑えているため、好みによるところだろう。

IMG_3331

言うまでも無いが、本当に革もいいものを使っている。

さて、皆さんはどちらが好みだろうか。

「Edward Green Chelseaでの木型82と202比較」への8件のフィードバック

  1. >82は踵とボールジョイントで固定、202は踵と土踏まずで固定、といった履き心地で、個人的には202の履き心地が実に気持ちよい。

    82に関しては同意します。
    土踏まず固定がよいので、202にも挑戦したいです。

  2. >>きゃさん
    82でも202と比較するとそうですが、結構土踏まずを押し上げてきますね。
    この履き心地は本当に素晴らしい。
    はやく挑戦してくださいね。

  3. EGの検索でこちらに流れ着きました。
    それにしても本当に分かりやすくて丁寧で感動しました。
    現在チェルシーの82と202どちらを購入するかでとても迷っています。
    自身クロケットではDウィズが合わずEウィズを履いているのですがEGでは82よりやはり202にした方が無難でしょうか?
    もしお時間ありましたらお返事お願い致します。

  4. 当ブログを読んでいただいてありがとうございます。
    僕自身が靴のことを調べたいときに、あまり詳しい情報が写真つきでなかったので、そういう人たちが欲しいと思う情報を意識して書いているので、そのような感想をいただき大変うれしく思っています。
    記事がきっかけになってもっと靴のことを知ってもらい、体感してもらえたら幸いです。

    クロケットのDウィズは確かに細いですが、グリーンのEウィズと細さ自体は同じかそれ以下だと思ってください。
    ただし、ライニングのやわらかさや、木型の形状からグリーンは全体を締め付けるような履き心地なので、はいてみると意外と同サイズ、もしくはハーフサイズ下のものでもはくことができたりします。
    なので、82か202かはそれを体感していただき、より足になじむ方を選んでいただくのがベストかと思います。
    クロケットをはいていた人が、初めてグリーンをはく際には、非常にきつくて「こんなきつめではくもんなの?」と思うことが多いと思います。

    履き心地やサイズ感に関しては、クロケットとグリーンは全く別ものと思っていただいてもよいかもしれません。

  5. “Edward Green”の検索で発見後、非常にしばしば拝見しております。

    先日、WestminsterをMTOしました。その際、202 lastにするか 82 lastに
    するかを検討する際に非常に有用でありました。ありがとうございます。

コメントは受け付けていません。